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【farmO・農業お役立ち情報vol.5】土壌分析との付き合い方

坂ノ途中のスタッフ・杉山の農業お役立ち情報5回目。
今回は、きっと多くの農家さんに身近な「土壌分析」の話。
まだ土壌分析をしたことがないという方も、既にしたことがある方も、改めて
分析結果との向き合い方を考えるきっかけになればと思います。

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土壌分析は、目に見えない土壌の成分、物理性などを計測し、数値として可視化したものです。
とくに、肥料投入量を抑える昨今の営農にとっては必須の作業ともいえます。
肥料会社さん、農協さん、行政、個人の方などさまざまな機関が分析業務を行っています。
分析は、5~20の項目に分かれ、いくぶん幅があります。
(人間の健康診断も、2時間でおわるシンプルなものもあれば、泊まり込みの健康診断もありますよね)

そして同じ項目でも分析方法が異なったりと、ちょっと複雑。
費用は、無料~30,000円くらいでしょうか。
肥料会社の土壌分析などは、その結果によって、
「〇〇肥料を10袋、△粉末を5袋入れると、理想値に近づきます……」
と、自社商品でコンサルティングしてくれる場合もあります。
(その量、ちょっと入れすぎじゃないかな~と思うことも)

個人的な見解ですが、土壌分析の目的は、
『畑の状態を数値に置き換える』
『その数値の理想とする方向へ経年変化させていく』
ではないでしょうか。

多くの生産者さんと話をして思うことがあります。
それは、
1年で一気に理想値まで数値を変化させる必要はない、ということです。
圃場が数値は「理想」になったとしても、土壌という生産基盤を1年で劇的に変えてしまうことは不測の事態を引き起こします。
数値はあくまで「理想」です。
人間も短期間でダイエットをすると、体が追い付かずに体調不良になってしまうことがありますよね。
それと同様に、教科書では理想とされる「数値」や「状態」も、生産者が不慣れであれば、かえって圃場が混乱します。

また、土壌分析は万能ではありません。
広い圃場の数か所から採取した土壌の性質が、偏っている場合もあります。
そこで、『短期間で理想とされる数値にする』施肥ではなく、
『少しずつ理想とされる数値に近づける』施肥をするべきです。
肥料類は不足であればすぐに足せますが、
過剰な場合、圃場から抜き出すことは本当に難しいんです!
「ミネラル分は多くても悪さをしない」なんて言葉も耳にしますが、それは違います。
多すぎると拮抗作用によって養分
の吸収がさまたげられることがあります。
しかもミネラル分は、鉱物です。
圃場に長く居座り、なかなか減少してくれません。
作の終わりに「少し〇〇欠乏出てるかな~」くらいがちょうど良い気がします。

土壌分析は非常に大切ですが、影響されすぎてはいけません。
若い生産者の人たちのなかにはとても勉強熱心で、
「私の圃場は苦土(マグネシウム)がとても不足していて…」
と、分析結果を見せてくれることがあります。
しかし、圃場を確認すると決して苦土欠乏はしていません。
焦って苦土を多投することで、さらにバランスのためにカリやカルシウムも足す!なんてことになっている生産者さん、近くにいませんか?

土壌分析は、自分の圃場が理想値に向かっているか経年変化を確認する指標。
短期で数値を合わせにいったらダメ!だと思います。
あくまで個人的な意見ですが……

いずれにしても土壌分析結果とどう付き合ってていくのかが、もっとも重要なポイントということです。

【farmO・農業お役立ち情報vol.5】土壌分析との付き合い方
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